平成20年第4回定例会 一般質問内容(詳細)

伊沢勝徳議員

(質問前に)
 自由民主党の伊沢勝徳でございます。このたび,通算5回目となります登壇の機会をいただき,日ごろお世話になっております諸先輩,同僚議員,そして地元の皆様方に改めて感謝と御礼を申し上げます。
 私は初当選以来,「人を幸せにする仕事それが政治」の信念のもと,県政の諸課題に全力で取り組んでまいりました。これからもすべての県民の幸せのため,夢と希望が持てる社会づくりを目指し一生懸命頑張ってまいりたいと思っております。
 今回は明るい未来づくりに向け,大きな課題となっております環境に関すること,そして少子高齢化社会を支える人づくりに関することを中心に,質問をさせていただきます。知事を初め,執行部の皆様方は,県民の夢と希望が未来へとつながる御答弁をお願いいたします。


(質問)
 まず初めに,県民に夢と希望を与える首都圏広域地方計画策定に向けた取り組みについて,知事にお伺いいたします。
 戦後からの長きにわたり我が国の国土政策は,全国総合開発計画,いわゆる全総計画によりその基本的方向が示されてきました。この全総計画は,昭和37年策定の第一次計画から,平成10年策定の第五次計画まで,国土の均衡ある発展を実現することを目的とし,国土のあるべき姿を描いてまいりました。そこに示された国土の姿が,高速道路や港湾,新幹線といった我が国の基盤づくりの根拠となり,それに基づく開発が行われ,その結果,これまでに工場の地方分散や地域間所得格差の縮小など,我が国発展のため一定の成果を上げたといえます。
 しかしながら,人口減少時代を迎え,我が国を取り巻く社会経済情勢は大きく変化している中,量的拡大を図る「開発」を基調としたこれまでの全総経過がその役割を終え,国土の質的な向上を目指す新たな「国土形成計画」が策定されることになりました。
 この国土形成計画は,今後おおむね10年間の国土像を示すものであり,全体的な国土づくりの指針として「全国計画」そして8つの広域ブロック単位での「広域地方計画」,この2つを柱として構成し,広域地方計画については,初めて地方がみずからまとめ上げることになったのであります。これは,従来のような国が長期ビジョンのすべてをつくってきたやり方とは全く異なるもので,地方分権の大きな流れに沿った画期的なことであると,私は思います。
 そして,「広域地方計画」に先んじて国が策定する「全国計画」は,平成17年度から策定作業が進められ,本年7月に閣議決定がなされました。この全国計画では,新しい国土像として「多様な広域ブロックが自立的に発展する国土」の構築を掲げており,それに向けた国と地方の協働が強調されております。
 これを見ても,これから地方がみずから策定することになる「広域地方警句」が,今後の国土づくりにいかに重要な位置を占めるかがわかります。各ブロックの広域地方計画は,21年度中をめどに案を取りまとめることになっており,その策定作業は今後本格化するわけでありますが,各広域ブロックのうち,本県を含め1都7県をエリアとする「首都圏広域地方計画」の策定作業に当たり,国や都県,市町村など関係機関をメンバーとして本年8月に「首都圏広域地方計画協議会」が設置され,本県の橋本知事が会長に就任されました。
 私は,この首都圏計画の策定に当たり,会長である橋本知事がリーダーシップを存分に発揮し,日本全体ひいては東アジアなど,世界を牽引する役割を担う力強い首都圏の姿を描き出していただきたいと考えます。
 首都圏という広域エリアの地方計画策定であるため,ともすれば都道府県計画の寄せ集め的なものになりがちですが,さきに申し上げましたとおり,この広域地方計画の意義を考えれば,求められるのは単なる個々の計画のすり合わせではなく,よりグローバルな視点を持った地域戦略であります。そして,グローバルであっても,そのエリアを構成する個々の都道府県や市町村がより発展し光を放つような地域戦略にしなければなりません。
 また,東京など一部の大都市地区のみを発展させるのではなく,本県を含めた個々の地域が発展するような,そして県民に夢と希望を与え将来が明るくなるような展望が必要であると考えます。そして,そのためには,協議会の会長である橋本知事のリーダーシップと政治手腕が求められているのであります。ついては,首都圏広域地方計画策定に桁取り組みについて,知事のお考えをお伺いいたします。
 

橋本知事 (答弁)
 首都圏は日本の政治・経済・文化等において中心的役割を果たし,我が国全体を牽引する成長エンジンとなっていきますとともに,東アジア,世界の中でもさまざまな分野で重要な役割を担っていかなければいけないものと考えおります。
 しかしながら,我が国の国際的な地位を見ますと,例えばコンテナの取り扱い個数では,1993年には神戸港が世界で第6位,横浜港が同じく第9位に入っておりましたが,2007年には,我が国トップの東京港での世界では第25位に下がっております。
 また,1人当たりの国内総生産でも,1993年にはOECD加盟国中第2位でしたが,2006年には第18位に下がり,同年の名目GDPの対世界比率は9%と,24年ぶりに10%を割り込んでおります。
 このように,世界の中での日本の地位,あるいは国際競争力は低下している状況にあり,我が国全体の地位向上に向け,首都圏がこれまで以上に成長エンジンとしての役割を果たしていく必要があると考えております。
 こうしたことから,私は首都圏における最重要課題は,国際競争力の強化であると考えております。そのため,首都圏広域地方計画では,科学技術の活用による新技術・新産業の創出や空港・港湾といった国際ゲートウエー機能の強化,さらには広域交通ネットワークの整備など,国際競争力の強化につながる地域戦略を構築していく必要があると考えております。
 先般開催されました首都圏広域計画協議会におきましても,各都県から国際競争力強化のため,社会資本の整備が大変重要であるといった意見が出されたところであります。
 このような中で,本県が果たすべき役割としましては,J−PARCの産業利用の促進によるイノベーションの創出,茨城空港の活用による首都圏の旺盛な航空需要への対応,県北3港の統合による太平洋側ゲートウエー機能の強化などが大変重要になってくると考えております。
 こうした本県の資源を有効活用することは,首都圏全体の振興にもつながりますことから,計画の中にこらの施策をしっかりと位置づけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 一方で,首都圏には約4,200万人の人々が生活しており,これらの人々が安全に安心して活動でき,健全で恵み豊かな環境を享受できることが必要であります。
 このため,つくばエクスプレス沿線などにおける質の高い生活環境の提供,霞ヶ浦の水環境の改善などといった,暮しやすく美しい地域づくりや良好な環境の保全・創出につながる地域戦略を構築していきたいと考えております。
 さらに首都圏には,豊かな自然や美しい景観,伝統文化等の資源を有する地域が多く存在しますことから,地域間交流・二地域居住といった,都市と農山漁村の古流の活性化策も位置づけていきたいと考えております。
 いずれにいたしましても,首都圏として我が国全体をリードし,東アジア,世界の発展に積極的に貢献できるようにしますとともに,首都圏に暮らす人々が夢と希望を持てる計画となるよう,協議会会長として精いっぱい頑張ってまいりたいと考えております。

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